メキシコのりこ

東京で社会人を20年ちょっと、からのメキシコ暮らし。

POPEYEの表紙はココで撮った(らしい)!

1976年に創刊し、日本のサブカルチャー界を牽引してきたシティボーイのためのファッション&カルチャー誌「Popeye(ポパイ)」がついにメキシコをフィーチャーした! とメキシコ在住日本人のあいだで話題となった2019年7月9日号。最近のポパイのタイトルラインアップをみると「キャンプがしたい!」(2019.8.9号)、「おもしろい映画、知らない?」(同6.8号)、「欲しいもの、したいこと。」(同5.9号)といった魅力的なテーマがずらり。そんな中、メキシコのタイトルは「メキシコが呼んでいる!」。そう、呼んでるよ、メキシコが、みなさんを!

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ところで、ポパイってそんなに海外特集を組む雑誌だったっけ? と思ってバックナンバー一覧を見てみると、2019年3月9日号が「台湾のシティボーイたちと作った台湾シティガイド」。さらにさかのぼって2018年4月9日号で「ニューヨーク退屈日記。」。なんと! NY=>台湾=>メキシコ!? なぜ、なにゆえにメキシコ!? とメキシコLOVEな私もさすがにちょっとびっくりな特集だったのですが、台湾ブームも落ち着いてきた日本人が、次に注目するのが太平洋をびゅんとわたってメキシコか? ついに日本でも何度目かのメキシコブームが到来するのか? と今、私はとてもワクワクしています。

日本でメキシコの知名度がぐっと高くなったのは、日本企業がメキシコに進出し始めた1960年代以降なんだろうと思います。個人的には1986年にユーミンが「憧れのアカプルコ」と歌った「Holiday in Acapulco」がはじめてのメキシコとの出会いかも。白いベランダ、熱い風。マリアッチのリズムに冷えたテキーラ。30年前にリリースされたユーミンの歌をあらためて聞きながら思うのは、恋の熱に浮かれてた遠い日を思い出しながらひとり旅をするにはメキシコ、いいよ、ということ。もちろん失恋旅行じゃなくても、ひとり旅じゃなくても!

街には一年中どこかしらでカラフルな花が咲いていて、強い太陽光が街の色を際立たせ、昼間のうだる暑さは夜になると嘘のように引いていく。雨季の雨もざぁ~と降るけど、日本の梅雨とは違って昼間はたいていからりとお天気。あとを引かない、きっぱりした気候は、気持ちが落ち込んでいるときに「まあ、いっか。また素晴らしい明日が来るさ」と、そんな気持ちにさせてくれるのです。

前置きが長くなってしまいましたが、とにかくイケてる男子が読む雑誌『ポパイ』さんがメキシコをフィーチャー。その表紙を飾った作品をミュージアム「Museo de Arte Popular(民俗博物館/民芸品博物館)」で見つけました! それがコレ。
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表紙では真ん中の部分だけにクローズアップされていましたが、闘牛を眺める人達はガイコツくんたちです。逆側から見るとこんな感じ(前の写真)。メキシコはガイコツモチーフは伝統のデザインで、メキシコのいろいろなところでかわいいガイコツくんたちに出会えます。同ミュージアムにも、もちろんガイコツコーナーがありました。
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このミュージアムスペイン語で「Museo de Arte Popular」というのですが、日本語に訳すと民俗博物館(『地球の歩き方』)となっていたり、旅行系のウェブサイトには「民芸品博物館」となっていることも多いようです。「民俗」「民芸品」と漢字で書くと、とても地味で古臭い博物館と思われそうですが、3フロア構造の立派でピカピカなミュージアムです。もちろん歴史的な展示もあるのですが、それはほんの一部。そこからつながる今のメキシコの民芸品を知ることができます。たとえばガイコツもこんなにかわいい!
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メキシコの民芸品といえばアレブリヘ。職人さんがある日、夢に見た動物を作品にしたのが始まりといわれるこの民芸品は、モチーフのバリエーションはもちろんその色使いの見事さは、これぞメキシコ! アレブリヘが空間にひとつあるだけで、不思議とメキシコ感がでると思います。
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例えばこんな・・。
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それから、こんな・・。
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アレブリヘのコーナーでテンションが上がり「もし私がポパイの表紙をディレクションするなら」を考えて撮ったのがこちら。どうですか、ポパイさん。

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そしていろいろな民芸品がならぶなか、なんだかかわいい「顔」がいっぱいあったので、お気に入りの顔をちょっぴりご紹介。
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それからメキシコは、布好きのみなさんにもおすすめなのです。ちょうどテキスタイルの期間展をやっていました。
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メキシコのテキスタイルは刺繍やビーズデザインが本当に見事。これは多数のインディヘナ(先住民)が暮らすメキシコならでは。民族のアイデンティティとして脈々と伝わる彼らのテキスタイルデザインは、人が生活を紡いできた証であり、これからも受け継いでいってほしいなと思います。
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メキシコ南部のチアパスに伝わるデザイン。
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こちらはユカタンのもの。
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ちなみにメキシコが伝統的に「赤」を作っていた染料の原料は、ノパル(ウチワサボテン)につく「codhinilla(コチニージャ)/カイガラムシ」という小さな虫。ノパルを知らなかったヨーロッパ人は、ラテンアメリカではじめてみた深い紅色に熱狂したのだそう。

それから興味深いのは、メキシコならではの繊維の素材。テキーラの原料として知られるMagay(マゲイ/アガベリュウゼツラン)は、丈夫な繊維がとれる植物で、その繊維はHenequén(エネケン)と呼ばれます。
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エネケンをクローズアップ。
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もうひとつ、民芸品店などに行くと必ず聞く言葉が「amate(アマテ)」。これはイチジクと同じ種類の木の樹皮からできる紙のこと。
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ざらざらした風合いを活かした作品を民芸品店でよく見かけます。
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この日は素材を手で触って確かめられるパネルがありました。
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ミュージアムは大きい荷物やリュックは入り口で預けて、3階(日本風に言うと4階)から順番に降りてきます。各フロアに2部屋ずつ展示室があり、私はのんびり見ていたので4時間くらいいました。ちなみに(日本で言うところの)1階にあるのは受付と、巨大なアレブリヘ作品のみ。2階は期間展のフロアのようでした。トイレも2階だけです。
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入口にある車も民芸デザイン!
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日曜日はミュージアムによって、メキシコ人と在住外国人だけが無料(海外ツーリストは有料)ということがあるのですが、ここは在留カードを見せる前に「チケットフリーよ」と言われたので、日曜日は誰でもゼロ円のようです。

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このミュージアムの近くには(歩いて5分くらい)、どの観光雑誌にも出ている「シウダデラ市場」という民芸品市場があります。ミュージアムで本物を見てから、シウダデラ市場で買い物というルートもおすすめです。その時はミュージアムでのんびりしすぎちゃうと疲れるので、そこそこで引き上げるのがおすすめ(4時間もぶらぶら歩くと、かなり疲れます!)。

イケてるシティボーイが読む雑誌が好きなガールのみなさんが『ポパイ』を読んで、「メキシコ行きたい!」となり、いつか日本でメキシコブームに沸く日がくる! といいな。